【DTM/作曲入門】39分でわかる!ボカロPとして活動を始める方法 | G.C.M Records

【DTM/作曲入門】39分でわかる!ボカロPとして活動を始める方法

※2020/9/3 大幅に加筆を行い「2020年版」としてアップデートしました。
(細かい加筆修正は随時行っています)

目次

はじめに

この記事は、2019年1月25日に商業でリリースされた、
私アンメルツPが執筆しましたボカロ曲制作ガイド本
『ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門 第二版』ダイレクトな宣伝記事です。
よりディープな情報を求めている方はぜひ本をお買い求めください 。

この本なのですが、商業流通とはいえ
インプレスR&DさんのNextPublishingというオンデマンド印刷の仕組みを利用しているため、
一般の書店に置かれている紙の本はごく一部に限られます。

そのため試し読みなどをする機会が少ないのかなと思い、
本の内容を超ざっくり要約しながら、原稿執筆~出版までの最新情報の補完、
さらに本の発売後も気になった情報をちょっとずつ追加していって
この記事だけでも全体で網羅的に、かつ最速でボカロPとして
活動できるような情報
をまとめることにしました。

自分自身がこういう情報一箇所に欲しいなと思って作った
リンク集的な記事でもあります。

ボカロ曲作りには苦労もありますが、とても楽しい趣味ですので
ぜひ皆さん気軽にはじめてみてください。

著者「アンメルツP」について

2002年より学生のかたわらDTMを始め、その後VOCALOIDと出会い、
2008年から「gcmstyle(アンメルツP)」という名前でボカロPとして活動をしております。

これまでオリジナル・カバー曲を合わせて、100以上の作品を発表してきました。

「アンメルツP」YouTubeチャンネル
アンメルツPのYouTubeチャンネル(クリックでチャンネルを見る)

その中で、自主制作(同人)でCDを企画・発行するなど活動を広げ、
多くの才能あるクリエイターや友人にも出会うことができました。

また、スマホゲーム『プロジェクトセカイ』の楽曲コンテスト「プロセカULTIMATE」に
「人生」という楽曲を採用して頂く機会もありました(2023年6月~稼働中)。

専門的な音楽教育は受けておらず、今でも楽器は満足に弾けないのですが、
このような多くの体験ができたことは
間違いなくDTM、VOCALOIDという趣味があったからだと思っております。

記事に寄せられた質問に答えてみました

この記事をご覧になった方より、「曲作りをやりたいのですが…」という質問を頂く機会が増えました。
そこで、そういったご質問に実際に答えてみた記事を公開しました。
合わせてご参考になさってください。

事前知識編

Q.そもそもボカロ曲を作ることの何が楽しい?

ボカロが自分の曲を歌ってくれた時の「承認された感」!
あれヤバイよ!
動画とか上げなくてもその時点で満足感ヤバイよ!

他にはこんなところですかね。
・自分の感情や主張を、音楽というパッケージにして伝えることができる
・友人が増える

Q.楽器が弾けないんだけど大丈夫?

大丈夫です。
私も弾けないまま10年以上ボカロPやってます。

ヘッダーにカッコつけてボーカロイドキーボード(私物)の画像を掲載していますが
マジでひとつひとつ鍵盤を探りながらでないと弾けません

G.C.M Records ロゴ(VOCALOID Keyboardが載っている)
ここでこのサイトのヘッダー画像を振り返ってみましょう。

Q.もうボカロ曲沢山あるし自分が作らなくてもいいのでは?

あなたの個人的な体験や思いは、あなたにしか歌にできません。

Q.今からやっても有名ボカロPになれる?

努力しだいではなれますが、今は「ボカロだから」で特別なゲタも無いので
ボカロPの活動で食べていくのは、普通にバンドを組んだりして食べていくのと同じくらいの難易度だと思います。

もっともこの記事ではそれを目標にしておらず、
まずは趣味として、自分の生活スタイルにボカロPとしての活動が合っているか試してみてほしいんです。

曲作りはゴルフや将棋のように、
基礎的な技術(ゴルフだったらスイングの仕方とか、将棋だったら駒の動かし方)さえ身につければ、
アマチュアが一生モノの趣味として、人生の楽しみのひとつにできるもの
だと思います。
その楽しさが広まればいいなと思います。

ゴルフや将棋を趣味にしている知人に「プロとして食べて行くの?」と聞く事はあまりないと思いますが、
これが音楽の話になってしまうとなぜか「メジャーデビュー目指してるの?」とか言われるイメージがあります。

趣味としてやるんだったら、そんなに頑張らなくても大丈夫です。

「15秒のサビだけの曲ができたので、仲間内だけに聴かせる」
これだけで全然趣味としての作曲活動として成立します。

ぜひ「みんなの歌姫」「俺の嫁」にしてください。

Q.「ボカロP」って勝手に名乗っていいの?

勝手に名乗ってOKです。

ボカロさえ買えば誰でもボカロPですし、それどころか動画制作者にもボカロをプロデュースする人という意味で
「○○P」という名前をリスナーからつけられた方もいらっしゃいます。

「ボカロP目指してます!動画まだ上げてません!」みたいな方を揶揄する人もいますけど、
自分のためだけに歌ってもらったって十分ボカロPだと思ってます。

「ボカロPになるには」とあれこれ悩むよりも「今日からボカロPです」でいきましょう。

Q.どんな曲を作ればいいの?

一般的にボカロPには4タイプあります。
自分はボカロを通じて何を表現したいかを考えてみましょう。
それによって用意する機材やボカロの種類、アプリもちょっと変わってきます。

アーティストタイプ(自分のメッセージや主張を発信したい)
脚本家タイプ(曲の中でストーリーを描き、聴いた人の感情を動かしたい)
音志向タイプ(音楽そのものの気持ち良さを求めたい)
プロデューサータイプ(推しのボカロキャラをもっと輝かせたい)

Q.2019年現在のボカロ界の現状を教えてください。

「ボカロが好き」=「テレビが好き」

ボカロ周辺に関しては広がりすぎて人によって全然違う世界を見てます。
例えば、ある人が「最近のボカロはキャラ展開に偏りすぎている」と言ってる側から
別の人は「最近のボカロ曲はキャラがPVに出ない」とか言ってます。

2019年現在、「ボカロが好き」というのは「テレビが好き」とだいたい同じ意味であると考えてください。

人によって見ている番組のジャンルが全然違うわけで、
例えば「最新のドラマ(アニメ)見た?」という人と、スポーツ中継の手段としてテレビを見ている人、
テレビに出たい人、テレビの大道具さん…全員「テレビが好き」なはずなのに話が噛み合わないのは当然です。

タイムラインに流れてくる活動を「こういう世界もあるんだ」と理解しつつ(時には諦めつつ)共存し、
貴重な気の合う仲間を見つけたら大事にしながら日々を過ごしています。

逆に言うと、何を目指すにしてもボカロを絡ませることができるし、
自分のやりたいことをブーストしてくれる存在とも言えます。
だから踏み台とか言わずにブースターとかエンジンだと言えばいいのにね。

ボカロPのキャリアについて

メジャーシーンを目指す場合は、まずniconico(ニコニコ動画)でボカロ通の間で地道に人気を獲得してから
YouTubeで広く認知を拡大していくというのが最近の傾向です。

実は、(特に有名曲の)ボカロ曲の再生数は、2000年代後半や2010年代前半のニコニコ動画よりも
ここ最近のYouTubeのほうが数倍伸びています。

さらに人気を得たボカロPは、以下のような商業活動への道も開けています。

・ソロ活動やバンド活動(アーティストタイプ)
・アニソンの作曲や、小説などのマルチメディア展開(脚本家タイプ)
・音ゲーの作曲やDJ活動(音志向タイプ)
・クリプトンなどの公式のお仕事(プロデューサータイプ)

趣味の活動の場合は、niconicoを中心にYouTubeも併用しつつ、
ボーマス(THE VOC@LOiD M@STER)M3コミックマーケットなどの同人イベントで作品を出し、
他の参加者と交流する、というスタイルが一般的です。

VTuberの出現について

ここ10年にわたるボカロの活躍でバーチャルキャラへの抵抗が減った結果が
VTuber(バーチャルYouTuber)出現のひとつの下地になりました。
彼らは他にもここ10年のYouTuber登場・VR技術・ネット放送技術・二次創作文化の普及などが
合体して生まれた時代の必然みたいな存在です。

その結果、「ボカロキャラだけがバーチャルキャラのほぼ全てだった時代」は終わりました
しかし、VTuberがボカロ曲を歌うなど不思議な共存関係が続いています。

Q.2020年現在のボカロ界の現状を教えてください。

STAY HOMEの中で音楽シーンの主役のひとつとなった「ボカロP」

2020年の全体の傾向として、明らかに音楽のヒットの潮目が変わった気がします。
自粛期間・ステイホームが呼びかけられている期間が続き、その間に何ができなくなったかと言うと、
バンドのライブやアイドルの握手会が封じられたわけであります。

その結果として何が起こったかというと、
「ヒット曲=動画サイトやストリーミングサイトでヒットした曲」になったという実感があります。

ヒットチャートを見渡すと、米津玄師さんをはじめ、ヨルシカ、YOASOBI、須田景凪さんら、
ボカロにルーツを持つ方(中には現役ボカロPも)が多数ランクインしています。

家から全く出なくても楽曲作りを行うことができるDTMは、
いまや創作を行う上での強力な武器のひとつとなっていると言えるでしょう。

VOCALOIDではない音声合成技術の台頭

2019年版の記事では、

VOCALOIDという音声合成技術自体も、
ヤマハが若干停滞感を見せている間に他社の技術が台頭してきてうかうかしていられない状況です。
「VOICEROID」はすでにゲーム実況や同人シーンでは定番の存在ですし、
「CeVIO」「ReadSpeaker(旧VoiceText)」なども近年注目されています。

しかし、企業とユーザーが時間をかけて作り上げた
「定番キャラ・VOCALOIDキャラ」かつ「定番楽器・VOCALOID音源」という稀有な存在としての
VOCALOIDの地位はまだしばらくは続きそうです。

と書きました。

しかし、わずか1年で、その状況は大きく変わろうとしています

まずは2020年2月、無料の歌声合成ツール「NEUTRINO」が公開。
「AIきりたん」として話題になりました。
人間のような自然な歌唱が特徴で、無料ツールとしては信じられない高いクオリティを誇ります。

作曲ソフトや楽譜制作ソフト上で歌詞つきの楽譜を作る必要があったり、
バッチファイル(テキストファイル)での設定が必要など、少しだけ特殊なPC操作は必要ですが、
使用者が多いため、ネット上には情報も豊富で、有志による補助用のツールもいくつか見受けられます。
お金をかけずに高度な合成音声技術に触れられる手段としてぜひお試しください。

「NEUTRINO」公式サイト

2020年7月には、Dreamtonicsの歌声合成技術「Synthesizer V(SynthV)」を採用した
歌声データベース「琴葉 茜・葵」がAHSから発売。

さらに同時期には、
「flower」(ガイノイド)、「IA」「ONE」(1st Place)、「結月ゆかり」(VOCALOMAKETS)が
音声合成ソフト「CeVIO AI」に対応することがアナウンスされました。
2021年に入ってから、続々と対応製品がリリースされています。

そして「ボーカロイド≒初音ミク」のイメージで語られることも多かった「初音ミク」でさえ、
次期バージョン「初音ミク NT」では、クリプトンおよび産業技術総合研究所の独自の歌声技術を採用し、
プロトタイプ版を経て、2020年11月に正式版が発売されました。

多くのメーカーは、今後もヤマハと協業を続ける・ボカロ版と併売を行う旨の表明はしていますが、
この先は、しばらくは「音声合成技術の戦国時代」とも言える時期に突入するかもしれません。

ただ重要なのは、どんな合成音声であろうと、あるいは人の声であろうと、
それはどれも曲を作る時の表現手段のひとつ、選択肢であるという点です。

前段で書いた4つのボカロP のタイプも意識しながら、最適な表現手段を選ぶことが大事です。

ただ、「ゲーム機=ファミコン」のノリで「合成音声技術、もしくはそれを使った曲=ボカロ」
「合成音声を使って曲を作る人=ボカロP」と呼ばれる状況は
それ以外の言葉が定着していないため(UTAUを使う人はUTAU-Pと呼ばれることもありますが)、
当分の間は続くのではないかと思われます。

ボカロの歴史を振り返る本

ボカロ・初音ミクの歴史や文化に切り込んだ本としては、2014年に刊行された
音楽ライターの柴那典氏の書籍が有名です。
特に氏の得意とする音楽面でのアプローチから、「初音ミク現象」に切り込んでいます。

また、『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』以降の商業書籍として貴重な存在なのが以下の本です。
初音ミク10周年である2017年を特にクローズアップして振り返っています。
筆者アンメルツPも「鏡音リン・レン10周年のトピック」で参加しています。

なお、『ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門 第二版』の本の中では、
「動画サイト登場以前のDTM、ネット音楽」「2018年時点でのVOCALOIDの現状」
16ページほどにまとめた文章を掲載しています。

準備編(機材・アプリ)

Q.ハードウェア(機材)は何を買えばいいの?

iPhoneかiPadを持っている人は、何も買う必要はありません!
iOSアプリ「Mobile VOCALOID Editor」がありますので。

iPhoneとiPadのどちらも持ってない人や、
Mobile VOCALOID Editorに無いボカロ(鏡音リン・レンなど)を
歌わせたいという方は、ちょっと性能のいいパソコンを買いましょう。

ゲーミングPC(リンク先はマウスコンピューターのG-Tuneシリーズ)なら、
高いグラフィック性能を生かして動画制作もいい感じにできるのでおすすめです。
もし作曲が趣味として合わなくても、高性能ゲーム機として活躍できます。

※インスト(ボーカルの無い音楽)や人間が歌う曲を作るのであれば
 Androidスマートフォンだけでも問題なくできます。

他にあると便利なものとしてMIDIキーボードがあります。
単体では音は出ないのですが、作曲ソフト上の音を鳴らせる鍵盤型のコントローラーです。

こちらは無線でiPadやiPhoneとつなげる機種です。ケーブルもすっきりするかと思います。

こちらは↑より少し高いものの、単体でも音を鳴らせるので
ちょっとしたメロディの試し弾きに便利です。

ヘッドフォン(音が変に味付けされないモニター用のもの)オーディオインターフェース
欲を言えば欲しいですが、気軽にやるのであれば本当にiPhoneのイヤホンで十分かと思います。

リスナーの多くはスマホのイヤホンで聴いているのが現実ですし、
このへんは多分みんなDTMが面白くなった段階で自然に調べだすと思いますので一旦忘れてください。

Q.どんなアプリ(ソフトウェア)を入れればいいの?

作曲ソフト(DAW)VOCALOIDを歌わせるソフトの2つが必要なものとなります。

作曲ソフトは2019年現在、ほとんどの環境において
無料もしくは低価格で十分なクオリティのものが出回っています。

作曲ソフト(DAW)

Windowsパソコンの場合→Cakewalk by BandLab 無料
Cakewalk by BandLabの使い方(作曲ラボさん)
私自身も使用しています。

Mac/iPad/iPhoneアプリの場合→GarageBand 無料
GarageBandの使い方(Sleepfreaksさん) Mac版はこちら iPad/iPhone版はこちら

Androidの場合→3分作曲 -musicline- 無料
もしくは2019年秋に登場、Zenbeats 基本無料 ※iOS、Windows、Macにも対応しています
私が使用しているのはFL Studio Mobileです(2,000円前後)

VOCALOIDを歌わせるソフト

Windowsパソコン/Macの場合
初音ミクV4X TRIAL 39日間無料体験
VOCALOID6 無料体験版 31日間無料体験

iPad/iPhoneアプリの場合→Mobile VOCALOID Editor 6,000円+追加ライブラリ課金

AndroidにVOCALOIDを歌わせるアプリはありません(ネーミング的にはぜひ用意してほしいんですが…)。

Mobile VOCALOID Editorで歌わせた音声をWAVファイルなどで書き出して、
そのファイルをGarageBandやFL Studio Mobileなどに取り込むことで
パソコンが無くてもボカロ曲が最初から最後まで作れます。

Windows/Mac版VOCALOIDの最新版は、2023年に発売された「VOCALOID6」です。

しかしやや高価なほか、
クリプトンのVOCALOID製品(初音ミク V4X/鏡音リン・レン V4X/巡音ルカ V4X/MEIKO V3/KAITO V3)などを使いたい方は別途「VOCALOID6」本体と別に製品を買い揃える必要があり、
これからVOCALOIDを始めたいという方には若干ハードルが高い存在です。
詳しく知りたい方はVOCALOID5のレビュー記事をご覧ください。

一方、クリプトンのVOCALOID/バーチャル・シンガー製品は、「Piapro Studio」という「VOCALOID3/4」をベースにしたクリプトン独自のエディタが付属しており、買うだけでボカロをすぐに歌わせることができます。

まずは無料の体験版「初音ミクV4X TRIAL」で使い心地を試してみましょう。
「Cakewalk」と「初音ミク」体験版のインストール方法は、下記の記事にまとめています。

Piapro Studioの使い方は、公式ページのスタートガイド、
および大まかな流れを記したブログをご覧ください。(ページでは説明にKAITO V3を使用)

製品版には「Studio One Artist Piapro Edition」という作曲ソフト(DAW)もくっついていますので、
CakewalkやGarageBandとどちらか気に入ったほうを使っていきましょう。

created by Rinker
クリプトン・フューチャー・メディア

クリプトン以外から発売されているVOCALOID(GUMI/音街ウナ/結月ゆかり/IAなど)を歌わせるためには、
執筆時点では「VOCALOID6」か「クリプトンのVOCALOIDを購入したらついてくるPiapro Studio」の
どちらかが別途必要となります。
バージョン対応など若干ややこしい部分もありますのでご注意ください。

下記の画像は『ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門 第二版』に掲載した図表をそのまま引用したものです。

VOCALOIDライブラリとボイスバンクの対応表
VOCALOIDライブラリとボイスバンクの対応表(2018年10月末現在、クリックで拡大)

ボカロ曲の作り方 (0)準備

Q.どうやったらボカロ曲って作れるの?

次の6つの工程を順にたどればできます!
これからひとつひとつ順番に見ていきます。

(1)構成を考える
(2)作曲(メロディづくり)
(3)作詞
(4)編曲・打ち込み ※ボカロ調声も含まれる
(5)ミックス
(6)マスタリング

より全体の流れについて、詳しく切り込んだ記事も公開しています。
これは、実際に筆者がボカロ曲を1曲まるまる最初から最後まで作った過程を1時間ごとに記録したものです。

Q.作詞と作曲はどちらが先のほうがいい?

作っていくうちに自分に合うスタイルがわかってくるので、最終的にはどっちでもいいのですが
個人的には、最初のうちは作曲→作詞のほうが圧倒的に楽だと考えていますので、
この記事ではその順番に説明をしています。
作曲が先だと、文字数を数えながら歌詞を当てはめていけるからです。

まずはこの学習サイトで曲作りに触れて!

「Live」という作曲ソフト(DAW)を発売している「Ableton」というメーカーの
曲作りを実際に手を動かしながら学べる学習サイトです。

最後まで無料、スマホにも対応しています。

Ableton「Learning Music(Beta)」
https://learningmusic.ableton.com/ja/

ぶっちゃけ私の続きの文章を読まなくてもこのサイトで
「(2)作曲」と「(4)編曲・打ち込み」の基本は全部押さえられます。
それくらい素晴らしい体験コンテンツです。

ざっくりと体験したら、できればでいいので戻ってきてください。

ボカロ曲の作り方 (1)構成を考える

「音楽を作る」というと、「3~4分でイントロが歌が入ってAメロがあって…」という
いわゆる一般的な商業音楽が最初に思い浮かびますが、それがすべてではありません。

最初は「CMソング」や「スマートフォンの着信音」
「ゲームのジングル」「TikTokに上げるためのサビだけの曲」のような、
15~30秒で作品として完結する音楽を作るのが目標で全然いいんです。

普段接している音楽って案外そんな音楽のほうが多いんじゃないですか?

それに慣れてきたら段々展開を増やしていきましょう。

基本編

・サビだけ(童謡・CMソングなど)
・平歌→サビ(童謡・歌謡曲など)
・A→B→サビ(J-POPなど)

「A→B→サビ」がJ-POPにもボカロ曲にも多いですね。
Aで状況説明→Bで戸惑うこともあるけれど→サビで前向きに走る!みたいな展開がとても作りやすいのです。

応用編

・2番のサビや間奏のあとにCメロを加える
・最後のサビのあとに大サビを加える

私はわかりやすい大サビの例として
『ようこそジャパリパークへ』で最後のララララーと歌うところ」とよく説明しています。
うまく使えば感動的な効果が出ます。
この曲の構成は以前「関ジャム」のアニメソング特集でも絶賛されてましたね。

ボカロ曲の作り方 (2)作曲(メロディづくり)

ここでいう「作曲」とは、「VOCALOIDが歌うメインの歌メロを作る」という意味です。
オケの作り方は、(4)の編曲をご覧ください。

メロディの作り方をざっくり2つのプロセスに分解すると、こんな感じです。

・コード進行というレールを敷く
・その上にメロディという列車を載せる

以下「厳密に言うとそれは○○だろ」みたいな用語説明や理論解説がたくさん出てきますが、
「こまけえことはいいんだよ!曲作りの面白さを感じたらみんな勝手に調べ出すだろ!」という
思想のもとに説明を続けます。

コード進行というレールを敷く

そもそも「コード(和音)」とは、3つ(以上)同時に重ねた音のことです。

ピアノの白い鍵盤しか使わない「ハ長調」の場合、
基本のコードとして「白い鍵盤を一つ飛ばしに重ねたもの」が7個あります。
これを「I」~「VII」と勝手に名付けます。

I→ド・ミ・ソ
II→レ・ファ・ラ
III→ミ・ソ・シ
IV→ファ・ラ・ド
V→ソ・シ・レ
VI→ラ・ド・ミ
VII→シ・レ・ファ

このコードをレールのように順番に並べたのが「コード進行」です。

コードの並べ方には法則があり、最低限以下の4つに従って進めていけば比較的自然なものができあがります。

① 「I」からはどこに行ってもいい
② 「I」以外からは「3つ進む」「1つ進む」「2つ戻る」のどれか
  ※ループしているので「V→I」のような進み方もOKです
③ 「VII」は最初のうちは使わない
④ 曲の最後や区切りは「V→I」で終わる

有名なコード進行として「VI→IV→V→I」という「小室進行」
「IV→V→III→VI」という「王道進行」があります。

その上にメロディという列車を載せる

メロディの並べ方の基本法則は下記の5つです。

① 基本は、和音を構成している音(内音という)を使う
② 同じ音程の内音で挟んだ中の音として、1つ上か、1つまたは半音下の音を使う(刺繍音、トリル)
③ 違う高さの2つの内音の間をつなぐ音を使う(経過音)
④ ある内音の前に、長めに1つ上か、1つor半音下の音をアクセント的に入れる(倚音 ※読み:いおん)
⑤ 曲の区切りで、Ⅰの一番低い音(ハ長調の場合「ド」)で終わる

ピアノの白い鍵盤しか使わない「ハ長調」の場合、具体的な①~④の例としては下記のようになります。

①ド→ミ→ミ→ソ→ソ
②ソ→ラ→ソ→ラ→ソ(ラが刺繍音)
③ソ→ファ→ミ(ファが経過音)、ソ→ラ→シ→ド(ラ、シが経過音)
④ド→ラ→ソ(ラが倚音)、ソ→低いシ→ド(低いシが倚音)

上の「コードの基本法則」と「メロディの基本法則」しか使っていない4小節分のメロディの実例は以下になります。

作ったコード進行にメロディを載せる実例
作ったコード進行にメロディを載せる実例(クリックで拡大)

作曲ソフト(DAW)を使って、数小節ぶんのメロディをたくさん作っていくうちに
だんだんメロディ作りが上達していきます。

また、既存曲のメロディを耳コピしてVOCALOIDに歌わせるカバー曲を作ってみることも
作曲力の上達につながります。

カバー曲の耳コピが面倒という方には、楽譜販売サイトを活用するのがおすすめです。
例えば、ヤマハは楽譜販売サイト「ぷりんと楽譜」で、有名曲の楽譜を1曲あたり数百円で印刷できたり、
MIDIと呼ばれる作曲ソフト上で直接読み込めるデータの販売を行っています。

楽譜を見てソフト上に打ち込むだけでも、有名曲のメロディがどう作られているかの勉強になります。

参考ページ・メディア

作曲法サポートページ

非常にシンプルな構成ですが、
作曲・編曲のための硬派な音楽理論やノウハウ、音楽史が山ほど掲載されており、
書籍数冊分に相当する知識が得られるおすすめサイトです。

特にメインとなる「作曲法 5.01」のページは、
コード進行のしかたとそれに載せるメロディの作り方をみっちりと学ぶことができます 。
私のメロディ作りはかなりの部分このサイト、
および同作者が提供する「作曲法」の古いWindowsソフトから学びました。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA007711/

Sleepfreaks「音楽理論 初級編」

ここ数年のDTM学習でまず名前が出てくるサイトといえば、個人レッスンの「Sleepfreaks」さんです。
とりあえずトップページは何も言わずにブックマークしておきましょう。

音楽理論のページでは、私の記事のような曖昧な理論説明ではなく
きっちりとした用語解説に触れながら、ひとつずつ丁寧にビジュアルを交えた
説明がされていますので、そちらのほうが覚えやすいという方はぜひ。
https://sleepfreaks-dtm.com/category/music-theory-beginner/

音域.com

J-POP楽曲の最低音域および最高音域を、曲ごとやアーティストごとにまとめており、
本来はカラオケでその曲を歌えるかどうかの目安として役立てるという趣旨のサイトですが、
メロディを作る際、人間がどれくらいの音域(声域)を歌っているかを学ぶためにも活躍します。
http://www.music-key.com

菩薩Pの「初心者のための作曲講座」シリーズ

ニコニコ動画における作曲講座として代名詞的に語られている、菩薩Pによる作曲講座シリーズです。
コード進行やメロディに関して非常に丁寧に作例を交えた解説がされています。
菩薩Pのマイリストはこちら

OzaShin氏「誰でもわかるコード進行講座」シリーズ

ボカロ曲制作においては「ぺぺろんP」としても知られる、OzaShin氏による
紲星あかり・結月ゆかりらVOICEROIDのアナウンスで進行する
音楽理論の初歩的なところから解説を行う、とても分かりやすい解説動画です。

「とりあえずこうやればOK」という、ここに書いた「コード進行の法則」がなぜそうなるのか
動画を進めるたびに少しずつわかっていくかと思います。
全動画の再生リストはこちら

15秒でわかるコード進行160

2002年に出た旧版を買ったのですが、今でも現役で活躍しています。
コード進行160個の紹介のうち40個が、
見開き2ページでイメージイラストや紹介文とともに掲載されています。

クセの強いイラストと、それについた
「普通に道を歩いていたら、突然の事故に見舞われ、みんなが悲しんでいる」
「女の子に後ろから声をかけたら、とんでもない女で切ない」
などといったコード紹介文の数々は、インパクトが大きくしかも実用的です。

ギター譜が掲載されておりギターで弾くことを前提にした書籍ですが、
コード自身はピアノ曲などにも流用できます。

ボカロ曲の作り方 (3)作詞

DTM入門をうたう本に「作詞」のことが書かれているものは希少です。
ですが特にボカロ曲においては「歌詞の内容」は非常に重要な要素のひとつです。

作詞というと「技術というかセンスでみんな作っているんじゃないの?」というイメージを抱いている人も
いるかもしれませんが、そうではありません。
作詞を構成する要素にひとつずつ意識的に取り組めば、実は誰でもある程度のレベルまではできるものなのです。

作詞は、以下の2つのプロセスに分解できます。
・「言いたいこと」を決める(発想)
・「言いたいこと」を実際の歌詞に落とし込む(表現)

「言いたいこと」を決める(発想)

家の設計図なく家を建てることは困難を極めます。作詞も同じです。
つまり、歌詞を書き始める前に「この曲で言いたいこと」をあらかじめ決めておくことが、
スムーズな作詞につながるのです。

この段階での目標は、「今度の新曲はどんな曲?」と聞かれたときに、
「○○が△△で、□□という思いを込めた曲」のように、
一言で曲の「言いたいこと」を説明できるようになることです。

それにはこんな質問のリストに答えていき、徐々に「言いたいこと」の核を絞っていくことが有効です。

・他の誰かから頼まれた曲か、そのような縛りがない曲か?
・過去の曲の続編を作るのか、それともまったく関係ない新しい曲を作るのか?
・マイブームや、自分の好きな作品は何か?
・それの何に惹かれているのか?
・自分が譲れない価値観、好きなもの、嫌いなものは何か?
・具体的になぜそれが好き(嫌い)なのか?
・最近自分や周りで起こった印象的な出来事は何で、それに対してどう思った?
・この曲の語り手は?(自分自身、物語の主人公、物語の第三者視点、VOCALOIDそのものなど)
・この曲を発表した際に、ついたら嬉しいと思うコメントは何か?

こう書き出すとまるで就活の自己分析みたいだ!
しかしとことん自分のこと、自分の周りのこと、自分の考え方に注目するのが、
自分の「言いたいこと」を固めるのにとても重要なのです。

この「言いたいこと」をひねり出すためには、とにかく書き出すことが大事です。
紙に書きなぐったり、パソコンのテキストエディタやEXCEL、あるいはスマホのメモ帳アプリなど…
記憶を外に吐き出すと、脳はアイデア出しだけに純粋に集中することができます。

ネタが尽きたら、しりとりや連想ゲームなどの言葉遊びを行うことで
全く予想もつかなかった方向に発想が飛ぶこともあります。
こうした、意図的に発想の壁を壊す自分なりのやり方を身につけておくと便利です。

私は「Xmind」という、樹木のように言葉を展開する「マインドマップ」を
作れるアプリを使っています。(基本無料)
パソコン版iPhone/iPad版Android版がそれぞれあります。
思考を整理できるツールとしてとても優秀ですので、ぜひ作詞のお供に試してみてください。

「Xmind」で実際に作った楽曲「午後八時のウォーキング」の歌詞
「Xmind」で実際に作った楽曲「午後八時のウォーキング」の歌詞

また最近活用している方法としましては、パソコンやスマホの音声入力機能があります。
アイデアを意識しながらひたすらしゃべるだけという単純な方法ですが、
言葉として記録することで、新しいアイデアがふと思いつくこともあります。手も疲れません。

これにはアプリ/Webサービス「Googleドキュメント」が、パソコンとスマホ間でスムーズに連携でき、
しかも音声の書き起こしが非常に優秀ですのでおすすめです。(無料です)

「言いたいこと」を実際の歌詞に落とし込む(表現)

3~4分間前後の一般的なポップスの場合、歌詞はだいたい平仮名で500文字前後です。
Twitter3~4ツイート分で完結する表現をしなければならないのです。

そのため、 いかに歌の主張に関係のない余計な装飾をそぎ落として、
本質に一直線に迫れる表現をすることが、
人の心を動かす音楽を作るポイントのひとつなのではないかと思います。

それには以下のようなテクニックや心構えで挑むことが大事です。

① 言わなくても明らかであることは排除する
② 説明的な要素や、具体的すぎる要素を排除する
③ ダブルミーニング(二重の意味にとれる言葉)を入れる
④ 同じ意味で、文字数の違う類語や言い替えを探す
⑤ 自分の個性は残しつつも、広い人に通じる表現を取り入れる

また長い曲の場合、 1番と2番で似たような表現や対比表現などを使うことも効果的です。
このような手法を繰り返し行い、「言いたいこと」を短い歌詞に変換して押し込めていきます。

参考ページ・メディア

類語検索のサービスや本

類語検索のwebサービスは、作詞において欠かせない存在です。
「④同じ意味で、文字数の違う類語や言い替えを探す」ために大変重宝します。

Weblio辞書 ──類語辞典・シソーラス・対義語
https://thesaurus.weblio.jp/

連想類語辞典: 日本語シソーラス
https://renso-ruigo.com/

「感情類語辞典」などのシリーズも、いざという時の言葉探しに役立ちます。

dict4Lyrics

「『○○』で終わる4文字の語」のような指定で単語を検索できます。
ラップのライムを作る際にはもちろん、幅広い用途があります。
http://dict4lyrics.from.tv/

TitlePlus! / PhrasePlus! / RhymePlus!

同じ作者による作詞・キャッチフレーズ作りなどに役立つアプリ3種類です。

TitlePlus!(iOS版Android版
指定した単語をもとに雑誌記事風の見出しを作成。

PhrasePlus!(iOS版Android版
単語を組み合わせてランダムなフレーズを作成。

RhymePlus!(iOS版Android版
指定した単語と韻を踏めそうな別の単語をリストアップしてくれる。

TitlePlus!アプリで「ボカロ」と入力してみた結果
TitlePlus!アプリで「ボカロ」と入力した結果、マジで人を釣れそうなタイトルだらけになった
すごい名前生成器

歌詞の登場人物のネーミングに悩んだらこちらです。
ランダムなパターンを組み合わせて大量のそれっぽい名前を提案してくれます。
https://namegen.jp/

AI作詞ツールShikaki(シカキ)

キーワードをいくつか与えて、各パートの音数を入力するだけで、
それっぽい言葉を作ってくれるサービスです。
それなりに詩的な言葉が生まれることもあり、この手のサービスの中ではクオリティが高い印象です。
https://shikaki.diatonic.codes/

キーワード、ジャンル、視点などを入力することで…
なんかそれっぽい歌詞を作ってくれます
ChatGPT

作詞に取り組む際、どうしても言葉が出てこなかったり、アイデアがストップしてしまった際は、
OpenAIの「ChatGPT」などと一緒に考えてみる手もあります。

例えばChatGPTに「この曲で言いたいことは○○です。それに合った歌詞のアイデアを出してください」と指示を出すと、AIはそのテーマに基づいて幾つかのアイデアやフレーズを生成します。
これを最初のアイデアとして使い、それを基にさらに練り上げていくことができます。

なおChatGPTの生成内容は一般的なもので、多くの人が同じリクエストをしている可能性があります。
あくまで参考程度に留め、そこからオリジナリティを出していきましょう。

Lyric Jumper

既存曲の歌詞を研究するならこのサイトです。

膨大なアーティストの歌詞の解析がされており、
例えば「自分探し」「ラブソング」など、どのような傾向の歌詞を書いているか、
印象的なフレーズはどれか、似たようなテーマで歌詞を書いているアーティストは誰かなどがわかります。
クリックを繰り返すことで、奥深い作詞の世界に旅立つことができます。
https://lyric-jumper.petitlyrics.com/

例えばこのように、米津玄師さんがどのジャンルの歌詞を多く書いているか、
歌詞ジャンルの比率の近いアーティストは誰か、などを分析できます
テレビ番組「プレバト!!」

俳句コーナーが言葉の添削を学ぶために役立ちます。
17音という短い俳句の世界の中で、いかに自分の「言いたいこと」を的確に表現するかという点において、
とてもヒントとなる部分が多いです。
https://www.mbs.jp/p-battle/

ボカロ曲の作り方 (4)編曲・打ち込み・ボカロ調声

「編曲」(アレンジ)とは、作ったコード進行とメロディに対して、
オケを作成して曲を彩っていくことです。
曲のカラーを決めるうえでものすごく重要な作業です。

編曲は、端的に言えば次の2つの「決断」の繰り返しです。

① どのような楽器を使うか
② 各楽器をどのように打ち込むか

RPGで言えば、①パーティーのメンバーを選んで、②敵を倒す戦略を練ることに似ています。

どのような楽器を使うか

まずは楽器の種類を整理します。

(1)打楽器

(1)-1 ドラムセット(ドラムス・ドラム)
一般的なポップスやロックのバンドにおける、いくつかのドラムが集合した普通のドラムセットです。

(1)-2 パーカッション
本来は打楽器全般を意味する言葉ですが、
一般的には「普通のドラムセットにはない打楽器」のことを指してパーカッションと呼びます。

パーカッションライブラリー:打楽器専門の情報サイト
http://drum-percussion.info/

(2)鍵盤楽器

(2)-1 ピアノ
主役としても、曲の後ろ側でコードを奏でる(バッキング)こともできる万能選手です。
ほとんどの作曲ソフトに用意されており、安い音源でもそれなりの音が出ますので
初心者の方は、まずピアノが活かせるジャンルの曲を作って練習を重ねるのが良いでしょう。

(2)-2 エレクトリック・ピアノ(エレピ)
鍵盤の打鍵を電気信号に変換し、それをアンプで増幅して、
スピーカーから音として出力する、電気式のピアノです。

(2)-3 その他
ゴシック系の楽曲でよく使われる「ハープシコード」や、
鍵盤を使って選択したパイプやリードに空気を送って音を出す「オルガン」、
打楽器の性質もあわせ持つ「マリンバ」「ベル」「木琴・鉄琴」などがあります。

(3)弦楽器

(3)-1 アコースティック・ギター(アコギ)
ギターは6本の弦を弾くことで音を出す楽器です。
左手の指で弦を押さえ右手で弦を弾きますが、左手の指の位置により奏でられる音の高さが変わります。
「ギターの打ち込みが難しい」とされるのは、その独自の奏法を知る必要があるからです。

(3)-2 エレキギター
弦の振動を、ピックアップと呼ばれるマイクの一種で電気信号として拾い、
それをアンプで増幅して、スピーカーから音として出力したものが
私たちが普段聴いている「エレキギターの音」です。

そのため、エレキギターの打ち込みでリアルな音を出すためには、
エレキギター音源そのものと、奏法を再現する打ち込みテクニック以外に、
アンプシミュレーターのエフェクターも必要となります。

エレキギターの総合サイト【エレキギター博士】
https://guitar-hakase.com/

(3)-3 エレクトリック・ベース・ギター(ベース)
ギターと同じく弦を弾いて音を出す楽器ですが、弦の数は4本のものが一般的です。
他の楽器に比べるとかなり低い音域を奏で、曲を底で支える重要な存在です。
家で言えば基礎・土台になるような部分です。

(3)-4 アコースティック・ベース
エレクトリックではないベースは、一般的にコントラバスやウッドベース(※和製英語)と呼ばれているものです。
ジャズやクラシック音楽などで活躍する楽器です。

(3)-5 ストリングス
本来「ストリングス」とは弦楽器全般のことを指すのですが、
DTMにおいては、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスによる合奏のことを指して
「ストリングス」と呼ぶことが一般的です。

(4)管楽器・吹奏楽器

(4)-1 ブラス
トランペットやトロンボーン、ホルンなど、
くちびるを震わせることで音を出す金管楽器をブラスと総称します。
平たく言えばラッパのことですね。

(4)-2 リード
サキソフォーン(サックス)やクラリネットなど、
リード(Reed、葦(あし)のこと)と呼ばれる機構に息を吹き付けることで音を出す楽器です。

(4)-3 パイプ
フルートやピッコロのほか、リコーダーや尺八など、
吹き込み口に直接息を吹き付けて音を出す楽器のことを言います。
いわゆる「笛」です。

(5)シンセサイザー・電子音(シンセ)

(5)-1 シンセリード
シンセサイザーを使って出す音のうち、派手で芯が太く、
メインフレーズを奏でるのに適した一連の音色のことを「シンセリード」と言います。
ここでの「リード」は先導する「Lead」です。パーティーの先頭を引っ張るリーダーですね。

(5)-2  シンセパッド
シンセリードに対して、包む込むような音の広がりがあり、
曲の後ろで鳴らすのに適した一連の音色を「シンセパッド」と呼ぶことがあります。

(5)-3 シンセSE
風や雷などの効果音を電子的に再現したものです。

(5)-4 8bitサウンド
1980年代の初期のテレビゲームでよく使われた電子音のことを
「8bitサウンド」、あるいは俗に「ピコピコ音」と称します。

Q.楽器の種類は分かった。じゃあ、どの楽器をどんな曲で使えばいいの?

独断と偏見でまとめていますので、こちらをご覧ください。

各音楽ジャンルでよく使う楽器一覧表(クリックで拡大)
Q. 音楽ジャンルを言われても、どんな曲かわからない。具体的に教えて

ニコニコ動画のタグ検索などでそれぞれの音楽ジャンルのボカロ曲が実際に聴けます。
いくつか聴いて、雰囲気をつかんでみてください。

ゴシック系→VOCALOIDゴシック系曲
バラード→ボカロバラード

アメリカンロック・高速ロック→VOCAROCK
スカ→VOCASKA
メタル→ボカロメタル

エレクトロニカ→ボカトロニカ
ヒップホップ→ミックホップ
R&B→VOCAR&B
ハウス→ボカロハウス
EDM→VOCALOEDM
トランス→ボカロトランス

ジャズ→VOCAJAZZ
フュージョン→ボカロフュージョン
クラシック→ボカロクラシカ
民族調→VOCALOID民族調曲 VOCALOID和風曲
チップチューン→Chiptune×VOCALOIDリンク

その他ジャンルはニコニコ大百科「VOCALOID関連のタグ一覧」より「ジャンルによる分類」や「テーマによる分類」をご覧ください。

またピアプロchの連載「ボーカロイド曲を紹介していく連載」も、
ジャンルごとにすっきりまとまった楽曲解説が役立ちます。

各楽器をどのように打ち込むか

ドラムの打ち込み

・ポップスやロックなどで使われる「8ビート」
・EDMやトランスなどで使われる「4つ打ち」

最初はこの2つを覚えておけばなんとかなります。参考動画を貼っておきます。

さて、ドラム以外のメロディのある各楽器の打ち込み方ですが、ここでもコードは大事です。

基本的には、いま鳴っているコードと同じ音を使います。

例えばえば「ド」から鍵盤2つ飛ばしにしたコード「ドミソ」(Ⅰ)であれば、
「ドミソ」のどれかの音を1つ、もしくは重ねて使っている限りは、不協和な響きをすることはありません

パターン① コードのルート音ベタ打ち

ルート音とは、ハ長調の「I(ドミソ)」でいうところの「ド」のことを言います。
シンプルにこのルート音だけを小刻みに鳴らすというもので、特にベースを打ち込む際によく使われます。

パターン②  アルペジオ(コードの弾き崩し)

4分音符や8分音符、16分音符ごとに
コードを構成している音の中から選んだ音を上げ下げしながら展開していくこと、
また、そうして作られたメロディのことを「アルペジオ」と言います。

例えば 「ド→ミ→ソ→高いド→高いミ→高いド→ソ→ミ」 などです。

アコギやピアノ、シンセサイザーなどの打ち込みによく用いられます。

パターン③ ボイシング(コードの構成音を重ねる)

ハ長調の「Ⅰ」であれば、「ドミソ」から複数の音を選んで同時に鳴らします。
様々な楽器で使われる一般的なパターンで、下記のように様々なバリエーションがあります。

・コードのルート音と、3番目の音を重ねる(「ド・ソ」など)
・コードの構成音のうち、隣り合った音を重ねる(「ド・ミ・ソ・高いド」など)
・コードの構成音のうち、少し離れた音を重ねる(「ド・ソ・高いミ」など)

パターン④ 既存メロディの流用

既に完成したメロディにコーラスをつけたり、ストリングスを寄り添わせたりするときに使います。

・既存メロディと同じメロディをつける
・既存メロディよりも、1オクターブ低い(高い)メロディをつける

 ※「ド」の場合は、「低い(高い)ド」を同時に鳴らすことです。
・既存メロディよりも、ある一定の音程だけ低い(高い)メロディをつける

 ※2個下や5個下、2個上が定番です。

VOCALOID(ボーカロイド)の調声(調整・レッスン・調教)について

調声については技術的なことを詳しく書くと、これだけで一つの記事になってしまう分量なので
ここでは最低限の心構えに絞って書きます。

VOCALOIDエディタではなく、作曲ソフトでメロディを打ち込むのがおすすめ

「VOCALOID Editor」または「Piapro Studio」で何もないところからメロディの打ち込みをするのは、
個人的にはあまりおすすめしていません。

私は、オリジナル曲はもちろん、カバー曲でメロディを耳コピする場合でも、
まず作曲ソフト上でシンセサイザーなどの音源を使ってメロディラインを打ち込む方法をおすすめしています。
あとからそれを「MIDI」形式で書き出して、VOCALOIDエディタに取り込めばいいのです。

最重要の2つのパラメータ

次の2つのパラメータは、
細かく変化させなくても、一定の値に設定するだけで大きく歌の印象を変える効果を持っています。

(1)Gender Factor(GEN、VOCALOID4以前)またはCharacter(VOCALOID5以降)
上下させることで声質が変わります。野太い男性的な声や子供っぽい声を出すには必須です。

(2)Brightness(BRI)
上げると力強くシャウト気味に、下げるとぼそぼそと歌います。
少し上下させるだけでも効果がはっきりとわかります。

基本的にはこの2つとPitch Bend Sensitivity(PBS)以外は、
ピンポイントで変化をさせるパラメータと考えてください。

ピンポイントのパラメータ変更に手を出す前に

実は「聴きやすい歌声」をかたちづくる部分の多くは、パラメータを編集する段階以前に、
「歌詞の作り方」と「発声の長さ」で決まってしまう
部分が大きいです。

慌てて細かいパラメータの変更に手を出す前に、ノート(音符)の長さの編集や、
思い切って歌詞の修正・譜割りの変更(長い1文字を短い2文字に変えるなど)を
するといい効果をもたらすこともあります。

ピンポイントで値を変更すると効果的な2つのパラメータ

ノートや歌詞の修正で対応できない部分に、ピンポイントで調整することにより
特に効果的なパラメータを2種類紹介します。

(1)Dynamics(DYN)
声量を調整します。もごもごしている発声や強調したい単語のところで上げます。

(2)Pitch Bend(PIT)
微妙な音程変化に使います。うまく使えば声の裏返りや人間らしい歌い方ができます。

ボカロ曲の作り方 (5)ミックス

(4)の編曲まででも曲としては十分成立するのですが、
さらに聴きやすい曲を目指す作業が「ミックス」(ミキシング、ミックスダウン)です。

ミックスとは、曲としてより自然に聴けるように、
ボーカルや打ち込んだ楽器どうしの音量などのバランスを調整することです。

・音量の調整
・音の左右の振り分けの調整

のほか、慣れてくると

・楽器ごとにエフェクターをかけて、細かく音を変えたり整えたりする作業

も行います。

よくある失敗のパターンとして
「全部の音を主張させてしまい、ゴチャゴチャした感じになってしまった」 というものがあります。
せっかく作った各パートですから全部聴かせたいというお気持ちは非常に分かるのですが、
それでは「子供全員がシンデレラのお遊戯会」状態になってしまいます。

主役はこの子だ!と思ったら、
残りの楽器は親御さん(各トラックを作った自分)の反対を押し切って、
主役を引き立てる脇役にしましょう。

ミックスで使う主なエフェクターについて

EQ(イコライザー)

鳴っている音全体のうち、低音部分だけ、あるいは高音部分だけなど、ピンポイントに音量を上下できます。

コンプレッサー(コンプ)

一言でいうと、「出る杭を打つ」エフェクターです。
演奏中、一定の音量よりも大きくなっている音を圧縮して、全体を平坦に均すことができます。

ディレイ

英語で「遅延」を意味するディレイは、
元の音が「何秒後に遅れて」「何回帰ってくるか」などを指定することで、
音の響きに深みを持たせることができる、「空間系」と言われるエフェクターです。

リバーブ

同じく「空間系」ですが、こちらは風呂場で歌っているような残響を発生させるエフェクターです。
うまく使えば音の距離感や空気感が変わります。

各エフェクターは作曲ソフトにあらかじめ付属しているものもあれば、
「VSTプラグイン」という形で別途単品として購入できるものもあります。

参考書籍

音圧アップのためのDTMミキシング入門講座!

主に音圧を上げることを目的に、ミックスの初歩から解説している本です。

最初はエフェクターを使わずにボリュームの調節だけでミックスを進めていく解説があるのですが、
その部分だけで24ページと非常に丁寧な説明がなされています。
楽器ごとにどのようなミックスを行えばいいのか、図を用いた解説が多数あり、わかりやすいです。

VST Lovers ~このVSTプラグインが熱い!~

私アンメルツPが主催・編集した同人誌です。
「実際に作品に使用したVSTプラグインを、後から振り返ったときに役に立ったと思うもの」
34名のボカロP・DTMerら楽曲制作者の皆様に紹介頂いております。

VSTプラグインの紹介文と共に、曲名・URLと
曲のどこにプラグインを使ったかという情報を多く掲載。
作品の大半は、ニコニコ動画やYouTubeなど ネット上で無料で聴けるものとなっています。

同人誌『VST Lovers』特設ページ

ボカロ曲の作り方 (6)マスタリング

「マスタリング」とは、ミックスによってバランス調整された音源全体にエフェクターをかけて、
ノイズを除去したり音圧を上げたりする、最終仕上げの作業です。

特にCDやダウンロードアルバムを作る場合、
バラバラにミックスした音源を、アルバム全体を通して音圧などに違和感がないように仕上げる必要があるため、
より重要です。

マスタリングには、ミックスの解説でさきほど触れた「EQ」「コンプレッサー」や、
全体の音圧を上げるための「リミッター/マキシマイザー」をおもに使います。

自分が作った曲と似たようなジャンルの曲を作曲ソフトに取り込んで、
交互に聴き比べながら微調整を繰り返していくと、理想の音に近づきやすいでしょう。

初心者はAIにマスタリングをやってもらおう

最近は、 このマスタリングを自動で行ってくれるWebサービスやエフェクターがあります。

クオリティはさすがに人間のプロには及ばないものの、アマチュアの上級者レベルにはあります。
曲を発表する過程において煩わしいことはなるべく避けたほうがいいと思うので
ボカロPの活動を楽しむために積極的に活用することをおすすめします。

下記の2つはWebサービスです。

音圧爆上げくん – 自動マスタリングサービス ※月1曲までor2分以下の曲なら無料
https://bakuage.com/

LANDR: ミュージシャンのためのクリエイティブなツール ※月2曲まで低音質mp3が無料
https://www.landr.com/ja/

また、iZotopeの「Ozone Elements」というエフェクター(VSTプラグイン)でも自動のマスタリングができます。
基本は1万円ほどですが、ときどきタダ同然の投げ売りキャンペーンが行われます。

実践編

著作権と二次創作への理解を深める

VOCALOIDの大半がキャラクターを伴った音源で、
そのVOCALOIDキャラクターのイラストを描く行為が「二次創作」に該当する以上避けられないのが、
著作権についての理解です。

著作権関係を勉強する場合は、インターネットで調べるよりも書籍をあたったほうが効率的です。
・本というまとまった形のほうが体系立ててルールを説明していることが多いので、わかりやすい
・インターネット上には著作権にまつわる感情的な話題も多く、下手に検索すると不快な気持ちになる

一番いいのは図書館で著作権や知的財産にまつわる書籍や雑誌を探すことです。
精神衛生上いいですし、財布も痛みません。

Amazonで探したい方のため、「アカデミックな資格参考書」と「実務的な本」という、
対極的な2冊を一応おすすめしておきます。

VOCALOIDならではの著作権と二次創作の関係

・VOCALOIDの発売元以外にも、ボカロP、絵師など、さまざまな人が権利者(版権元)になり得る

あなたが楽曲を作れば、もちろんあなたも権利者です。

・VOCALOIDソフトウェアを使用したオリジナル曲は一次創作だが、
 VOCALOIDキャラの絵を描くのは二次創作である

なお曲をVOCALOIDが歌っていたとしても、PVでオリジナルキャラを描けば、当然絵も一次創作です。
この場合は商業展開などもスムーズに動きやすいですね。

・ 一般的な版権元に比べて、著作権運用ルールが緩い

発売元各社で微妙に違いこそありますが、多くの場合
「ネット上の二次創作は公序良俗に反しない限りは問題なし」
「CDや同人誌の発行も、ある程度ルールを作って対応している」

というところが多いです。
(一般的な版権元は↑が全部ダメなのを黙認されているだけです)

クリプトンの場合、電子書籍、楽曲、MVなどはダウンロード販売も最近解禁されました。

piapro(ピアプロ)|キャラクター利用のガイドライン
https://piapro.jp/license/character_guideline

作った曲を公開する

公開する前に

「身内向けなのでLINEグループやDiscordに放流して終わりの音楽」
「特定の一人にしか届けなくていい音楽」
「完全に自己満足で作ったのでどこにも公開しなくていい音楽」
なども必ずあります。
本当に公開する前に一度、曲を作った理由に立ち戻りましょう。

音楽投稿サイトに公開する

動画を作らなくていいので楽な公開のしかたです。

ピアプロ ボカロ曲を公開するなら第一の選択肢。コラボ募集もしやすい。

SoundCloud 音楽通や海外の方に聴いてもらうにはこちら。

動画サイトに公開する

niconico ボカロ曲の熱心なリスナーが新曲を探しており、一定数(数百再生程度)は必ず聴かれる。

YouTube 新人がいきなり投稿しても数十再生で埋もれる可能性があるものの、
一度ブレイクすると数年にわたって長く聴かれることも。ある程度知名度を得たら活用したい。

bilibili 中国の動画サイト。入会が面倒だが日本人も一部参入している。

Twitter SNSだが2分20秒以内の動画もアップできる。試聴用に。

TikTok 縦長動画が映える。数十秒の一発ネタやYouTube等へのフル視聴誘導など。

<参考記事>
「いつまでニコニコに投稿するの?」と言われることも――これからの時代、クリエイターはプラットフォームをどう選ぶべきなのか【歌い手 そらる×ニコニコ代表 対談】
https://originalnews.nico/260351

Q.で、どうやって動画って作るの?

Windows10では「フォト」アプリ、Macでは「iMovie」という、
それぞれ始めからインストールされている無料のものを使いましょう。
素材をいくつか切り替えながら歌詞のテロップをつけるといった、
ボカロMV作成にあたっての基本的な機能は一通り兼ね備えています。

スマートフォン用のアプリも高性能なものが最近は出ています。
ferretさんのスマホ用動画編集アプリをまとめた記事などが参考になるかと思います。

VOCALOIDのイラストは、ピアプロであれば非営利で自由に使用OKのものを絵師さんが多く公開されています。

写真や背景素材などを動画に使う場合は、素材サイトが役立ちます。
下記は「コリス」さんによる凄まじい分量の素材サイトまとめです。

国内限定、商用利用無料のフリー素材の総まとめ -日本語フォント、写真素材、イラスト素材、マンガ素材など | コリス

画像の加工などに使える、無料のオンラインサービスやパソコン用アプリなども数多くあります。
「PhotoPea」「GIMP」は、簡単なサムネイル画像などを作るには十分なクオリティを誇ります。

市販の本にも自由に使える画像素材や動画素材を収録したものがあります。
冊子という形でカタログ的にめくりながら使う素材を決められるのが利点です。

また同人では、「iimo」氏のリリースしている動画素材集「patchwork」シリーズがおすすめです。

商用利用可の素材集が一作1,000円と、動画素材としては非常に安価ながらもクオリティ高いです。
私は以前購入した「06」をMVに使わせて頂いております。

作った曲を売る・頒布する

CDやダウンロードカードを作って同人イベントで頒布すると、
パッケージ作品として形に残る喜びや、リアルの場で他の人と交流できる楽しさを感じることができます。

CDの制作方法

特上:プレスCDの制作を業者にお願いする(300部以上、予算8万円~)
:CD-Rコピーを業者にお願いする(100部以上、予算2~7万円)
:手焼きCDを作る (100部以下、予算~1万円)

私がよく使っているCD制作業者は「テックトランス」さんです。
他にもたくさんの業者さんがいらっしゃいます。

業者さんにCD制作をお願いするには、「マスター音源を焼いたCD」「印刷物のデータ」が必要です。

「マスター音源のCD」を作るのに一番簡単なのは「iTunes」を使うことです。
また、無料のCDライティングソフトなどでも作ることができます。

iTunesを使った音楽CDマスターの作り方|激安CDプレス・激安DVDプレスのCD-PAC
https://www.cd-pac.com/guide/master/itunes/

「印刷物のデータ」は、Adobe「Photoshop」「Illustrator」のようなソフトを使い、
入稿に適した形式で制作する必要があります。
絵師さんやデザイナーの方にお願いするのが確実です。

ダウンロードカードの制作方法

CDよりも安く(100枚が2万円ほど)作れるので、シングルの頒布に便利です。
代表的な2サービスを紹介します。「SONOCA」はクリプトンが展開するサービスです。

スマホ用音楽カード『SONOCA(ソノカ)』
iPhone/Android用のアプリがあり、歌詞を見ながら曲を聴いてもらうことができます。
https://sonoca.net/

コンカ | ダウンロードカード・ミュージックカード製作サービス
後からファイルを差し替え・追加できる柔軟さが特徴です。
https://conca.cc/

同人イベントへの参加

THE VOC@LOiD M@STER(通称「ボーマス」、ボーカロイドオンリーイベント)
M3(音系同人オンリーイベント)
コミックマーケット(日本最大の同人即売会)

同人文化の理解のために、「コミックマーケットの理念と実相」のページは
一度目を通しておくようにしましょう。
https://www.comiket.co.jp/info-a/WhatIs.html

同人イベントには参加のために欠かせない持ち物がいくつかあります。
参加することを決めたら、当日までにぜひ用意をしておきましょう。

iTunesなどへの有料配信

クリプトンの運営する「ROUTER.FM」という配信仲介レーベルがあります。

配信料はかかりますが、ボカロキャラをジャケットに描いたり、
アーティスト名や曲名に「feat. 初音ミク」などの表記を用いた楽曲を
Apple Music、Amazon、Spotify、LINE MUSIC、YouTube Musicなどに配信することができます。

ネット上での活動方法

クリエイターの交流手段

Twitter
DTM愛好者、ボカロPなどの交流手段として、現在最も広く普及しています。

自サイトやブログ
Twitterだけでは一度告知した内容がどんどん流れていってしまいます。
長期的な活動を記録できるようになりますし、告知をするのにも便利です。

公開メールアドレス
楽曲使用やコラボ相談、商業案件の仕事依頼のような外部からの連絡を受けるために必要です。
Gmail、Yahooあたりが比較的簡単に作れて便利です。

ボカロ・音楽・DTM関係の情報収集

初音ミクニュース  公式や同人問わず、合成音声に関するネット記事を幅広く毎日紹介している。

YouTube ボカロ日日ランキング  現在流行しているYouTubeのボカロ楽曲が一目でわかる。

Computer Music Japan  ソフトウェア音源やエフェクターなどのセール情報が速く網羅的。散財注意。

作品を見てもらうための工夫

・作品のタイトルにボカロキャラの名前や、作者名などを入れる

・サムネイルを工夫する

・タグをつける

・動画説明文を整える
曲の簡単なキャッチコピー(作詞のところに書いた「○○が△△な曲」が固まっていれば考えるのが楽ですね)や、
作詞・作曲・イラスト制作・動画製作者の名前とSNSのアカウント、
告知ごととそのURLなどを書いておくのが一般的です。

ネット上での振る舞い方

継続的に活動することで得られる「信頼」は非常に大事です。
ネットという公開の場に出ると、クリエイター以前の問題として、
年齢などは関係なく社会人としての対応が自然に求められます。

はっきりとした意見や極論は、熱心なファンを生み出すと同時に、反発する人も生みます。

デマの拡散など、 情報の取捨選択にも注意が必要です。
単にリツイートしただけであっても、ファンはあなたを情報源として捉えます。

<参考記事>
Rubyプログラマが中学校で情報モラル講演会をしてきたよ – give IT a try
https://blog.jnito.com/entry/2019/07/29/055054

おわりに

とんでもない長文にお付き合いいただきありがとうございました。

最初「5分でわかるボカロPになる方法」みたいなタイトルにしてたけど、
5分じゃ絶対読みきれないので10分にして15分にして…とやっていった結果、
最終的に「39分でわかる」というなんともアレな記事になりました。

ひとつ前の記事「wordpressの高速化改善」も1~2週間かけて書いた長文記事ですが
この記事も同じくらいかかっています。

ですが、ネット上には断片的な情報ばかりしかなかなか見つからなかったため
思い切って全部詰め込もうと思って編集した結果がこちらになった次第です。

VOCALOIDは大げさでなく私の人生を変えた存在です。
ですからその本体・本質であるVOCALOIDソフトウェアを使った曲作りに触れて、
この記事がきっかけで同じように人生が楽しくなる人がひとりでもいたら嬉しいです。

そして…

本ではもっと各項目を細かく解説してるのでぜひ買ってくださいね!!!(ダイレクトマーケティング)

それではまた。

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著者「アンメルツP」について

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