【おすすめVST紹介】「T-RackS ONE」5分で90%クオリティのマスタリングを実現 | G.C.M Records

【おすすめVST紹介】「T-RackS ONE」5分で90%クオリティのマスタリングを実現

はじめに

こんにちは、ボカロPのアンメルツPです。

実際に私がボカロ曲などの制作の際に使っている
おすすめVST/VSTiプラグインを紹介・レビューしていくシリーズの第14回をお届けします。

前回(第13回)の紹介記事「Renaissance Vox」についてはこちらからどうぞ。

プラグイン紹介

プラグイン基本情報

プラグイン名:T-RackS ONE

IK Multimedia「T-RackS ONE」画面
IK Multimedia「T-RackS ONE」画面

価格:定価149.99ユーロ(「T-RackS 5」の価格)
メーカー/開発者名:IK Multimedia

紹介ページ:
IK Multimedia – T-RackS 5
https://www.ikmultimedia.com/products/tr5/?L=JP

9つのツマミでマスタリング音源のニュアンスを微調整

T-RackS ONEは、「T-RackS 5」というパッケージに収録されている
さまざまな効果のエフェクターの組み合わせによって音を整える、
いわゆるチャンネルストリップのVSTプラグイン、エフェクターです。

目的としては、マスタリングに主に使用します。
2Mixとして完成した音源全体の最終仕上げの工程に使うわけですね。

このT-RackS ONE最大の特徴としましては、
「ONE」の名前が示している通り、これひとつでマスタリングが完結することです。

ツマミが合計で9個あり、
おのおのを好きな値に設定することで、マスタリングのニュアンス、全体的なテイストを
自分好みに調整できるという、便利な道具です。

コンプレッサーやEQなど、従来のひとつずつプラグインを設定するやり方は時間がかかるし難しい。
かといって、自動マスタリングサービス(例えばLANDR音圧爆上げくんなど)よりは
もうちょっと自分好みに細かくやりたい、という目的において、
実はちょうどいいプラグインとなっております。

いうならば、「5分で90%クオリティのマスタリングが完成する」という
作業効率を非常に重視しているプラグインです。

CDを作るときの最終的なマスタリングにも活躍したりします。
複数の曲を、アルバムを全体通して聴いた時に近い雰囲気に合わせるとき、
このT-RackS ONEのパラメータのわかりやすさはとても助かります。

さて、先ほど9つのツマミがあると申し上げましたが、これをひとつずつ解説をしていきます。

9つのツマミの役割

PUSH・VOLUME

とりわけ大きい左右のツマミがPUSHVOLUMEです。

「PUSH」「VOLUME」は全体の音圧を調整できます
「PUSH」「VOLUME」は全体の音圧を調整できます

PUSHはコンプレッサー、VOLUMEはリミッターに相当するものと考えていただいて構いません。

VOLUMEを上げていくと、全体の雰囲気は保ったまま音圧が上がります。
PUSHは、音量を均して、キックなどさまざまな音が前に出てきながら音圧が上がるイメージですね。

PUSHは3~5ぐらいまで上げると明らかに音が変わって聞こえます。

VOLUMEに関しては、最近はストリーミング用にはそれほど高くない音圧が求められることも多いので、
YouTubeへの公開にあたっては0~1ぐらいで十分かもしれません。

ただCD向けだったり、単体のダウンロード音源を作る際は、
まだまだそれなりの音圧があったほうが聴きやすいこともあり、
この場合3~5ぐらいに設定することもあります。

WIDTH

「WIDTH」では、音の広がりを制御できます
「WIDTH」では、音の広がりを制御できます

PUSHとVOLUMEに挟まれた真ん中の下のWIDTHは、音の広がりを調整できます。
プラス方向に回すと音が左右に広がり、逆にマイナス方向に回すと音が狭まったように聴こえます。

ミックスで音が中央寄りに固まってしまう悩みを抱えている人は多いことでしょう。
そういった音源で1~2ぐらい上げておくと、左右に音が広がってひとつひとつの音が聴きやすくなります。

AIR・FOCUS・BODY

その次に、左の小さい3つのツマミを見ていきましょう。
AIRFOCUSBODYです。

「AIR」「FOCUS」「BODY」は、高域・中域・低域のEQです
「AIR」「FOCUS」「BODY」は、高域・中域・低域のEQです

この3つはどれもEQ(イコライザー)として、特定の音域を強調orカットします。

BODYは低音、
FOCUSは主にボーカルの周辺音域である中高音、
そしてAIRは高音から超高音にそれぞれ効果を及ぼします。

ピンポイントではなく、低域全体とか中高域全体をなんとなくブーストするという、
「Q幅が広い(Qの値が小さい)」EQになっております。

「なにか低音域が物足りない」「なんとなくボーカルが主張していない」というざっくりとした悩みに対して
ツマミをプラス方向に回すと、各音が強調されていい感じになります。

少し回しても効果が大きいツマミなので、どんどん使ってみましょう。
値が±3を超えると逆に極端で不自然な仕上がりになるので、
普通は-2~2ぐらいまでがいいかと思います。

次に、右の3つのツマミについての説明です。
これはひとつひとつ役割が違います。

右側の3つのツマミで音のニュアンスを微調整できます
右側の3つのツマミで音のニュアンスを微調整できます

TRANSIENTS

右上のTRANSIENTSはトランジェントシェイパーと呼ばれるもので、
プラス方向に回すと、ひとつひとつの音がはっきりと形をもって、パリッとした音になります。

2mixのパンチ力が少ないなというときに上げておくと、はっきりした音に仕上がります。

本当はミックス段階で完璧に仕上げておくことが良い音を作るのには重要なんですが、
ミックスのプロではない大多数の人にとっては何が「完璧」なのかもそもそもわからないし、
一日寝かして聴いたら「こんなはずじゃなかった」と愕然とした経験をした方も多いと思います。

そんなとき、おとなしくマスタリング段階に進み、ミックスでの失点を取り返す。
そういったところで使っていきましょう。

完璧ではなくても、短時間で90%クオリティの音源を仕上げられる。
それによって、たくさんほかの曲を作れたり、
最近の動画サイトのスピード感に少しでもついていくようになれるのがこのプラグインの一番の導入効果です。

ANALOG

右側真ん中のANALOGは、文字どおりアナログ的な音の温かみを加えるものです。

なんとなく隙間が埋まってないような印象の音だと感じたときにツマミを回すと、
良い感じにその隙間を埋めてくれます。

ただ、もともと音をたくさん使っている曲は、かえってゴチャゴチャ感が増してしまうので、
ついつい音を詰め込む傾向のある人(私です)は0もしくは最小限でいいと思います。

BASS PUNCH

最後に右側一番下のBASS PUNCH
これはBODYと似ていて低音を強調する機能ではありますが、
よりベースやキックなどの低音・超低音の鳴り部分に的を絞って強調してくれます。

微妙な違いがありますので、BODYとBASS PUNCHを組み合わせて、
うまく低音部分のバランスを取っていきましょう。

おわりに

T-Racks ONEは、すべてのツマミの役割が単一機能ではっきりしていて、
自分の音の最終仕上げをツマミの組み合わせで好きな方向に持っていけるという、
わかりやすさと効率の良さが最大の魅力です。

こちらは「T-RackS 5」を買えば自動的に付いてくる4種類のプラグインのひとつとなっております。

個別のプラグインでは面倒くさい、
でも全自動じゃなくて細かくは調整したいという、
そんなニーズを満たすプラグインとなっておりますので、ぜひチェックをしてみてください。

IK Multimedia – T-RackS 5
https://www.ikmultimedia.com/products/tr5/?L=JP

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