「白紙を穢す/鏡音レン 生徒会執行部」投稿しました(もじゅみねコンピ収録曲) | G.C.M Records

白紙を穢す

「白紙を穢す/鏡音レン 生徒会執行部」投稿しました(もじゅみねコンピ収録曲)

ゴールデンウィーク中の5月5日、鏡音レンが歌うアンメルツPの新曲「白紙を穢す」を
niconico(ニコニコ動画)とYouTubeに投稿しました。

イラストは59さんです。

今回初めてYouTubeでプレミア公開を行ったのですが、たくさんの方に来ていただき(同時視聴30人ほど)
コメントも好意的なものが多くて嬉しかったです。
今後も積極的に活用していきたいと思います。

楽曲について

全体テーマ・歌詞

ゲーム『初音ミク -Project DIVA-』に登場する鏡音レンのモジュール「生徒会執行部」を
イメージした二次創作曲
です。

独白めいたラップを織り交ぜながら綴るシリアスな楽曲となっています。

投稿日と同じ日に発行された、もじゅみねコンピ『staRLights extend』の収録曲です。
CDには、クリスタルPさんがCD用にマスタリングしたバージョンの音源が入っております。
動画版のマスタリングは私です。

そもそも制作の発端は、
「あれ?もじゅみねコンピに生徒会執行部って今までいなかったっけ?」ということでした。

私が作ったのが、第一弾ではリンレンの「アルパーカー」、
第2弾ではリンソロの「しましまビキニ」だったので、
次はレンソロをと思って作ったのがきっかけです。

そしてこのモジュールで私が曲を作るなら、リーダーの苦悩や思春期の苦悩を描こうと思っていました。

私自身色々人生でそういう経験もあったなというものと、
締め切りが2月末で、直前の2月後半で作ったので、時事的な要素も折り込みながら、
生徒会執行部というキャラクターを映し出して行こうとした感じですね。

タイトル「白紙を穢す(はくしをけがす)」は彼の仕事である日誌を埋めることと、
子供から大人になることとのダブルミーニングです。

制作中の仮タイトルとして「リーダーシック」というのもあったのですが、
色々な意味で直接的すぎる気がしたので、今のタイトルにしてよかったと思います。

タイトルを英訳(Get a blank page dirty)するときに、
「dirty」がちょっと強めの言葉で少し裏の意味を孕んだものっぽいのでこれでいいのか小一時間悩んだんですが、
よくよく考えると「穢す」もそんな感じでしたね…

作曲・編曲

で、そのような苦悩や迷いを描こうと思ったので、
普段あんまり使わない難しめのコード進行でループを組んでみました。
「m7(b5,11)」とか記憶の限りは初めて使いました。
この曲を聴きすぎて自分でも感覚が麻痺していますが、ちゃんと使いこなせているか分かりません。

最初から最後までひとつのコード進行を移調しつつもずっとループさせています。

ぶっちゃけ曲調に関しては最初
「2019年にヒットした某バンドの『白』で始まる曲っぽくしよう」と思っていました。
なんとなくそうしたかったんだろうなという痕跡は残っているかもしれません。

普通の歌ものにしようかとも考えたのですが、
ポツポツと感情を独白させたほうがいかにも彼っぽいかなと思い、
平歌はラップのような、ポエトリー・リーディングのような(あんまり韻も潜んでないですからね)感じで
淡々と、しかし後半では激しく彼の感情を綴っていくスタイルの曲になりました。

ボカロ調声

「生徒会執行部の声」をつくる

ボカロ調声には色々とこだわったのですが、いつもと一番違うところはジェンダーファクターです。

GEN(ジェンダーファクター)を上げて大人っぽい声にします
GEN(ジェンダーファクター)を上げて大人っぽい声にします

普段はデフォルトから下げるんですが、
この曲に限っては上げることで大人っぽい「生徒会執行部の声」を作り出しました。

あと、Powerに少しだけSeriousをクロスシンセシスで混ぜています。

ラップ・後半の叫ぶような歌唱について

ラップの基本的な調声については、以前の楽曲「Battle the Channel」でも行った、
VOCALOIDにラップさせる調整手法を今回も適用しています。
PBS(ピッチベンドセンシティビティ)を12に設定して、ピッチベンドの上下で声の上げ下げを表現してします。

後半には、執行部が叫ぶように思いを吐露する場面が出てきます。

ここにはものすごく細かく詰めた音符を配置して、
その一つ一つに叫びっぽく聴こえそうなことを色々やっていきました。

なんかいろいろやった叫ぶ地帯の調声
なんかいろいろやった叫ぶ地帯の調声

普通のラップで12に設定していたPBSは、ここではその倍、上限である24に設定しています。
これで、声の調子の激しい上下を表現できます。

この叫び部分のもう一つの特徴は、
普段曲中であまり変化させないジェンダーファクターを上下させていることです。

オ段など、いわゆるドスを効かせたい場所に適用することでよりリアルな叫びになります。

あと半分後付ですが、大人と子供で揺れ動いている声というところでもありますね。

また、グロウルも適宜入れています。

イラスト

この曲の執行部を繊細に表現できるのは59さんだという思いがあり、完成形としては
以前コラボした、THE BACK HORN「美しい名前」の
鏡音レンによるアレンジカバーの動画をイメージしていました。(もう5年前…)

ご覧いただくとわかりますが、静止画によるコマ送り中心で白黒の表現というのがかなり共通しています。

さて今回は、曲に合わせ「教室」と「自室」のイメージが欲しいとお願いしました。

単に「家の中での内面的な光景」という注文に対して、
ベッドで仰向けにしている執行部を送ってきたのは59さんなので讃えてください。

色々とやり取りしている間に表情差分や衣装差分(白ランと黒シャツ両方やりましょう)がどんどん増えて、
59さんにはご負担をおかけしてしまいましたが、
そのおかげで曲の流れに合った執行部の内面を細かく表現することができたと思います!
ありがとうございました。

一応シルエットですが「クラスメイト」の人選は私のイメージで。
一番彼と方向性的に離れていそうな人物ということで特に他意はございません。

大きなサイズのイラストは59さんのpixivでどうぞ。

【イラスト提供】白紙を穢す

動画

動画に関しては、基本的にはイラストの力を信じて作りました。
日誌を書いたり、タブレットを触ったりする手元のイラストを頂いたおかげで表現の幅が広がりましたね。

ポーカーフェイス装った液晶には独り言

この場面は、詰まったタスク・スケジュールを表現した素材が欲しかったのですが見つからなかったので、
タスクアプリの私自身の画面を加工しました(実際にはこんな詰まってない)

なお、歌詞の「液晶」=タブレットは確固として頭にあったイメージです。

・普通の人と違うものを持っているのが執行部っぽい
・家でも、仕事上のツールとしても使える。
 スケジュールや生徒を管理したり、時には規則違反者を吊るしたりとか…

という理由です。

タイムラインに溢れてくデマゴーグ 報告しても鳴り止まない

個人的にこの部分の執行部の手つきが気に入っています(単純に真横に左右移動させているだけですが)。

彼はとても真面目なので、タイムラインに流れてきたデマはご丁寧にも全部報告をしています。

説得の戦略感情と論理で一画ずつ刻んで綺麗に埋める日誌

この箇所は、「左上から横に読んでも成立する」という、
説明するのは野暮だけどされないと分からない仕掛けもあります。
(歌詞書いてる時はあまり意識してなかった)

まあ、基本的に動画に関してはできるだけ見たままに感じてほしいと思います。

一人で作っていって、生徒会執行部というモジュールに関する解釈が他の人と合うかどうか心配でしたが
これまでの反応を見る限りは、解釈が一致していたという反応が多く非常にほっとしています。

この曲が、生徒会執行部というキャラクターをより愛でるきっかけになってくれると嬉しいです。

歌詞

「白紙を穢す」
作詞/作曲/編曲:アンメルツP
歌:鏡音レン V4X(ガヤ:鏡音リンV4X)

Inspired by 生徒会執行部(初音ミク -Project DIVA-)

白紙の生徒会日誌 今日も埋めてくことに必死
時に諭し 時には声張り上げ 屁理屈を押さえつける
責任を知らぬ子どもたち 現場を知らない大人たち
中間管理 それが役割 個性の塊 生むわだかまり

「鏡音くんがいいと思いまーす」祭り上げる 愛想で返す
「成績A、問題行動無し」とかされてるから厄介
決めたら「独断」、決めなければ「無能」 自然と求められる模範
ポーカーフェイス装った 液晶には独り言

落書きを擦って
改ざんを拒んで
整った字面で
綺麗に記す日誌

「世界が嫌い」とわめく歌に、不覚にも重ね合わす自分
タイムラインに溢れてくデマゴーグ 報告しても鳴り止まない
英語ニュースで見た討論会 仲間の足を引っ張る連中
世間は何も進んでいないから 塾で埋め合わすスケジュール

95点で責められる 染みの許されない服をまとい
思春期を抑え込み 色恋沙汰の禁止を謳う
大人として振る舞いながら井の中の蛙なダブルスタンダード
自分ゴトにすること すなわち自分を殺すこと

説得の戦略
感情と論理で
一画ずつ刻んで
綺麗に埋める日誌

わからないよ 真面目に生きてバカを見るようなこの世界に
できることは ただひたすら 白紙を穢すだけ

言葉ではなかなか人は変わらない
僕の役割なんかみんな気にしていない
もっと大人になればみんな気づくのだろうか
いや、ルール違反したほうが勝つ世界に期待しても無駄だろう

僕らの将来など保証されていない
未来の世界など誰も知らない
それぞれの正義、それぞれの言い分があって
僕だって何が正しいのか迷路の真ん中にいるところなんだよ
ああもう思考がグルグル回っていく、吐き出しても心の奥底にたまる淀みは消えやしない
決めたら「独断」、決めなければ「無能」 自然と求められる模範
ポーカーフェイス装えない 液晶にはさっきより増えた独り言

落書きを擦って
改ざんを拒んで
整った字面で
綺麗に記す日誌

わからないよ 真面目に生きてバカを見るようなこの世界に
できることは ただひたすら 白紙を穢すだけ

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著者「アンメルツP」について

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